いわゆる〝不登校〟ではないものの、中学生のうちの約1割が、心の中では学校に行きたくないと感じていることが、日本財団の調査で明らかとなった。全中学生約325万人の10.2%に相当する約33万人。文部科学省が調査した不登校中学生数の約3倍となる。10人に1人が不登校傾向にあるというショッキングな調査結果で、「授業がよくわからない」「良い成績がとれない」など、学習面での理由がみられた。「学校に行く意味がわからない」という声も聞かれた。
中学生に直接質問
文科省では、「病気や不登校以外の理由で年30日以上学校を欠席する」ことを、不登校の定義としており、昨年度の不登校者数は約11万人に上っている。文科省の調査は学校に対して行っているが、今回日本財団では子どもから実態を調査するため、直接中学生に聞いた。
調査によると、文科省定義による「不登校生徒」に該当する中学生は約10万人にのぼり、また、学校の校門・保健室・校長室等には行くが、教室には行かない「教室外登校」の生徒は全体の1.8%に相当する約6万人となった。
また、①基本的に教室で過ごすが、授業に参加する時間が少ない「部分登校」、②基本的には教室で過ごすが、他の生徒らとは違うことをしがちで、授業に参加する時間が少ない「仮面登校A・授業不参加型」、③基本的には教室で過ごし、他の生徒らと同じことをしているが、心の中では学校に通いたくない・学校が辛い・嫌だと感じている「仮面登校B・参加型」は、3分類合計で全体の4%となる約13万人存在した。
さらに、基本的には教室で過ごし、みんなと同じことをしているが、心の中では学校に通いたくない、学校が辛い、嫌だと感じており、また学校に行きたくないと毎日思っている「仮面登校B・授業参加型」は4.4%の約14万2000人にのぼった。
「居心地が悪い」
学校に行きたくない理由としては「朝、起きられない」「疲れる」といった身体的症状が上位を占めたが、すべての群で「授業がよくわからない、ついていけない」「テストを受けたくない」など学業に関する理由がみられた。
また、不登校者は「学校に行こうとすると、体調が悪くなる」、仮面登校B・授業参加型では「学校に行く意味がわからない」という理由もみられ、さらに両者とも「学校は居心地が悪い」との声が聞かれた。
さらに、学びたい場所について現中学生と中学卒業後から22歳までの卒業生を対象に調査した。その結果、学習したいと思える場所は、「自分の好きなことを突き詰めることができる」環境がトップだった。「クラスや時間割に縛られず、自分でカリキュラムを組むことができる」との答えは、現中学生より卒業生の方が多かった。
小学校時代不登校14%
また、同財団では、現中学生に自身が小学校時代の登校状況についても聞いた。小学校時代に不登校または不登校傾向にあったと思われる現中学生は14.4%。1週間以上休んだことがあると答えたのは約4%で、中学生時代と比較して2.1%多かった。
さらに「教室外登校」「部分登校」「仮面登校A」の不登校傾向があったと思われる現中学生は4.6%で、中学校時代と比較して0.6%多かった。