我が国経済は、景気の緩やかな回復基調が継続する中、中小企業の業況は緩やかな改善基調の中にも一服感がみられ、原材料価格の上昇や人手不足への懸念等、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にある。こうした経済情勢を踏まえ、経済産業省はこのほど、経済産業大臣と公正取引委員会委員長の連名で、親事業者約21万社と業界団体代表者約1000団体に対し、下請取引の適正化等を要請した。この中で、下請代金支払遅延等防止法の遵守、金融繁忙期の下請事業者の資金繰りへの配慮、適切な取引価格の決定、消費税の円滑かつ適正な転化の確保等を要請している。
具体的には、我が国経済は、景気の緩やかな回復基調が継続する中、中小企業の業況は緩やかな改善基調の中にも一服感がみられ、原材料価格の上昇や人手不足への懸念等、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあることを指摘。また、これから年末にかけての金融繁忙期を迎えるに当たり、下請事業者の資金繰り等について一層厳しさを増すことが懸念され、親事業者が下請代金を早期にかつ可能な限り現金で支払い、下請事業者の資金繰りに支障を来さないようにすることが必要とした。
また、経済の好循環を実現するには、下請等中小企業の取引条件を改善していくことが重要という問題意識の下、政府を挙げて下請対策の強化に取り組んでおり、平成28年12月には、①違反行為の未然防止や事業者による情報提供に資するよう、下請法に関する運用基準を改正するとともに、②親事業者による下請代金の支払についても、(1)請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること、(2)手形で下請代金を支払う場合は、割引料を下請事業者に負担させることがないよう下請代金の額を十分に協議すること、(3)手形サイトは、将来的に60日以内とするよう努めること別添を旨とした通達を発出した。
その上で、引き続き、下請取引の適正化に努めるよう要請した。
さらに、政府を挙げて働き方改革を推進しているが、取引の一方当事者の働き方改革に向けた取組の影響がその取引の相手方に対して負担となって押し付けられることは望ましくないと考えられることを指摘。人手不足の深刻な中小企業の経営悪化が懸念される中、極端な短納期発注等は、取引先での長時間労働等につながる場合があり、下請法等の違反の背景にもなり得るため、特に留意を求めた。
平成30年7月豪雨や北海道胆振東部地震のほか、台風等による災害も発生しており、被災地域での事業者と取引のある全国の事業者に影響が広がっていることを指摘。その上で、災害等の発生を理由として、下請事業者に一方的に負担を押しつけることにより、取引のある経営基盤の弱い中小企業・小規模事業者に悪影響を与えることのないよう、適切な対処を要請した。
このほか、31年(2019年)10月1日から、消費税率が、8%から10%に引き上げられると同時に、消費税の軽減税率制度が実施されることから、減額や買いたたき等による消費税の転嫁拒否等の行為が生じないよう、適切な措置を講じるよう求めている。