パナソニックが新たな歩行トレーニングロボットを開発した。ハンドルを押す高齢者の力を人工知能(AI)が解析。1人1人に最適な負荷をかけて効果を高める。すでに一部の介護施設やデイサービスなどで実証実験を展開。来年度中にはレンタル事業を始めたい考えだ。現段階で料金は月6万円程度を想定しているという。
「高齢者が歩行トレーニングを行う場合、単純なキャスター付き歩行器だと軽すぎて前方に転倒するリスクがある。一方、登坂で負担を軽減するなどの一般的なアシスト付き歩行器を用いると、本人が受け入れられる負荷まで軽減してしまい、筋力の低下を招く可能性がある」
パナソニックの問題意識だ。そこでAIを活用。個々の利用者の状態に合った負荷をかけ、安全かつ効果的なトレーニングを実現する構想を描いた。
負荷は後輪に内蔵された小型モーターが調節する。ハンドル内のタッチパネルを操作し、4段階から選択することも可能だ。専用のICカードをハンドルにかざせば、システムが個人を認識して起動。トレーニング中は歩くスピードや距離、体の左右の傾きなどがタッチパネルに表示される。こうしたデータはクラウドに自動で保存・蓄積され、歩行がどう変わったかなど経過を確認できる。
介護報酬の機能訓練加算などの請求に必要な記録を自動で作成する機能も搭載。単純にペーパーワークを減らすだけでなく、データの多さが介護職員の負担増につながらない設計でサービスの質の向上につなげる。
洗練されたデザインも特徴の1つだ。パナソニックはデザイナーの想いとして、「使っていて『楽しい!』『かっこいい!』という“誇り”や“ステイタス”を持ちながら、歩くことの喜びを感じてもらえるよう試行錯誤を重ねた」とPRしている。