高齢者の賃貸物件への入居をオーナーが容認しない、あるいは承諾を躊躇するケースが少なからずある − 。そうした社会的課題の解決を目指すという。
NTT西日本は今月から、IoTを活用した「スマートルームみまもり」のトライアルをプリンシプル(福岡県福岡市)と開始した。ドアにセンサーを設置して異常を見つけ、孤独死などの防止や早期発見につなげる構想だ。九州を拠点とする7つの不動産管理会社と手を組む。一定期間にわたって希望する高齢者の住まいに無償で導入し、その効果や運用のノウハウ、ビジネススキームなどを検証するという。
2017年版の高齢社会白書によると、1人暮らしの高齢者は2015年の時点でおよそ600万人。このうち33.8%が賃貸で暮らしている。賃貸のニーズは今後さらに拡大する見通しだが、物件のオーナーにとっては孤独死などのリスクが悩みの種だ。高齢者が安心して生活を送ることができ、オーナーにも空室を減らすメリットをもたらす健全な仕組みの構築が急務となっている。
NTT西日本のトライアルでは、センサーを取り付けた“IoTドア”を居宅内の2ヵ所に配置。一定の時間を超えて開閉が検知されないと、高齢者が持つ端末のアラームを鳴らす。これが解除されない場合、本人や家族に電話やメールなどで連絡がいく。それでも状況が掴めなければ、最後の手段として管理会社に通知を出す仕組みだ。
NTT西日本は、「来訪や電話による見守りサービスと異なり、入居者が普段の生活を変えずに、ごく自然に見守りを受けられる点が特徴」としている。トライアルの結果も踏まえて商用サービスとしての確立を目指す。「グループ会社とともに、光インターネットアクセスサービスとの組み合わせによるサービスの普及を図る」と説明している。