介護の問題を扱う自民党の「介護に関するプロジェクトチーム」は8月30日、新たな認知症基本法の制定に向けた検討を開始した。
本人や家族への支援をより総合的・計画的に推進していく狙い。来年の通常国会への法案提出も視野に入れ、12月にも党の骨子案をまとめる構えをみせている。医療・介護の関係団体を招いてヒアリングしつつ、年末にかけて具体的な内容をめぐる議論を深めていく考えだ。
「認知症は誰しもかかる可能性がある。今後の日本の非常に大きな課題」。PTの冒頭、座長を務める田村憲久元厚労相はそう説明。「広く関係者の意見を聞き、実のある法案を作ってまいりたい」と述べた。
認知症基本法をめぐっては、公明党が実現を目指す動きを率先して進めてきた経緯がある。今年5月に独自の骨子案を発表。「尊厳の保持」「意志の尊重」「必要な支援を受けられる」といった基本理念を明記した法律を整備してはどうかと提案した。また、施策の展開に向けた計画の策定や財政上の措置を国に義務付けること、地域の実情に応じた支援の実施を自治体の責務とすることなども盛り込みたいとした。
関係団体にも同様の動きが出ている。全国知事会は今月、「認知症の人を社会全体で支える体制を構築し、認知症施策を加速させるための法律の制定」を主張。田村元厚労相は30日のPTの後で記者団に、「約20の団体から政調会長に要望が来ている」と明らかにした。
ただこの日の会合では、「新オレンジプランもよく出来ている。認知症基本法の制定を急ぐ必要はないのではないか」といった慎重論も出ている。「今後の議論次第。まだどうなるか分からない」と先行きの不透明さを指摘する議員もいた。