所管の学校に対して業務改善や方針を策定している教育委員会は、都道府県や政令指定都市では8割から9割を占めているが、市区町村での取組は2割程度にとどまる。また、事務職員の校務運営への参画を推進している教育委員会は、政令市で5割を上回っているものの、都道府県や市区町村では3割、2割以下となっているー。文部科学省が公表した全国の教育委員会における学校の業務改善のための取組状況のフォローアップ調査で、教育委員会の取組の一層の促進が必要な現状が浮き彫りになった。
教員が子どもたちと向き合える時間の確保を目的として、文科省では、全国の教育委員会に対して、学校現場における業務改善の一層の推進に向けた支援に努めるよう要請している。ところが、業務改善方針や計画を策定している教育委員会は、都道府県では91.5%にあたる43教委、政令市でも85.0%の17教委に達するが、市区町村では20.8%の358教委と少ない。それぞれ昨年度と比べて増加しているが、市区町村での取組を一層推進する必要がある。
事務職員の校務運営への参画に推進状況を見ると、「学校事務の共同実施を実施している」と回答している教育委員会は、都道府県18(38.3%)、政令市14(70.0%)、市区町村1096(63.8%)となっている。「庶務事務システムを導入している」と答えた教育委員会は、都道府県や政令市はともに6割程度、市区町村は2割程度となっている。また、「標準職務等において、企画委員会等への参加等、校務運営へ主体的に参画するよう示している」と回答した教育委員会は、都道府県15(31.9%)、政令市11(55.0%)、市区町村312(18.2%)と低調で、今後国が示す事務職員の標準職務例も踏まえて取組を促進する必要がある。
調査・統系等への回答等に係る負担軽減の取組について、「教育委員会による学校への調査・照会の対象・頻度・時期・内容・様式等を精査している」と回答した教育委員会は、都道府県47(100%)、政令市19(95.0%)、市区町村1088(63.3%)で、取り組んでいる教育委員会が多いことがわかった。
「調査の一元化等により回数を削減した」と回答した教育委員会は、都道府県35(74.5%)・政令市16(80.0%)と比較的多い一方で、市区町村は431(25.1%)にとどまっている。
「域内共通ネットワーク型の校務支援システムを構築し、当該システムから教育委員会が情報を取得することによって調査回数を削減している」と回答した教育委員会は、都道府県8(17.0%)、政令市6(30.0%)、市区町村241(14.0%)だった。
部活動に関する負担軽減では、「部活動指導員をはじめとした外部人材の参画を図っている」とした教育委員会は、都道府県45(95.7%)、政令市18(90.0%)、市区町村1026(59.7%)で、多くの教委で取組が行われている。部活動の適切な活動時間や休養日について、スポーツ庁が示した『運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』に則った基準を設定していると回答した教育委員会は、都道府県27(57.4%)、政令市14(70.0%)、市区町村は865(50.3%)となっている。
授業準備の負担軽減について尋ねたところ、「サポートスタッフの参画を図っている」とした教育委員会は、都道府県18(38.3%)、政令市18(90.0%)、市区町村564(32.8%)で、政令市以外は低調だった。
勤務時間の管理や適正な勤務時間の設定に向けた取組について、学校閉庁日を設定している教育委員会は、都道府県19(40.4%)、政令市19(95.0%)、市区町村は1039(60.4%)だった。
「勤務時間外の保護者や外部からの問合せ等に備えた留守番電話の設置やメールによる連絡対応の体制を整備している」と回答した教育委員会は、都道府県9(19.1%)、政令市7(35.0%)、市区町村は201(11.7%)だった。
教師の勤務時間管理の方法を尋ねたところ、「ICTの活用やタイムカードなどにより、勤務時間を客観的に把握している」と回答した教育委員会は、都道府県18(38.3%)、政令市9(45.0%)、市区町村は696(40.5%)となっており、それぞれ昨年度と比べ増加している。