京浜急行電鉄と横浜国立大学が、高齢者などの外出を支援する新たな交通システムの構築に向けた協定を締結した。「電動小型低速車」を活用した実証実験を、今秋から横浜市内でスタートさせる。京急沿線で暮らす移動が容易でない人に活用してもらう計画だ。
実証実験が行われる横浜市金沢区の富岡エリアは、京急電鉄がかつてニュータウンとして開発した地域。近年は高齢化が進み、いわゆる「買い物弱者」や「移動弱者」をサポートしていくことの重要性が増してきた。バスなどの公共交通は十分に行き届いていない。坂の勾配が急なこともあって「空白地帯」となっており、最適なソリューションの開発が急務といえる。
実証実験には登坂力に優れた「電動小型低速車」を使う。前もって決めたルートを循環運行させることなどを想定している。車両はゴルフカートのようなフォルムで4人乗りだ。このサイズのメリットは、大型車が苦手な急な坂道や小道などにも入っていけること。スピードは時速20km以下をキープするという。より具体的な利用方法や実証実験の期間などの詳細は、今秋に向けて詰めていくとしている。
京急電鉄の担当者は、「個々のお住まいから近い場所で乗り降りできるようにすれば、高齢者などにとって移動が今より楽になるのではないか」と説明。「これまでになかった外出機会の創出やコミュニティの再構築、地域の活性化などにつなげていければ」と話している。