国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)安全科学研究部門リスク評価戦略グループ 篠原直秀主任研究員、内藤 航研究グループ長は、国土交通省からの相談を受け、東京地下鉄㈱(東京メトロ)の協力を得て、混雑時の車内環境を模擬した地下鉄車両を試運転運行し、車内のCO2濃度の変化を計測した。
窓を閉め切った状態で約9分間の走行を行うと、車内のCO2濃度は3200ppm程度まで上昇した。窓を10㎝㍍で2カ所開けた状態で約9分間の走行を行うと、車内のCO2濃度の上昇は約15%減少した。
地下鉄車両内を完全混合空間と仮定し、ワンボックスモデルにより、それぞれの運行での1時間あたりの換気回数を概算すると、窓閉では約6.3回、10㎝㍍×2カ所の窓開けでは約9.4回と推計された。
今回実施した模擬試験は、実際の混雑車両で起こりうる人間の代謝熱などによる上昇気流などは再現できていないため、測定値の解釈には注意が必要であるが、この試験で得られた結果は、混雑時の運行車両における感染対策を検証するための貴重な基礎データになることが期待される。