2021年3月25日 AI活用し野菜5品目の市場価格予測サービス開始(NEDO)

 

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」事業に取り組んでおり、取組の一環として㈱ファームシップと豊橋技術科学大学は、人工知能(AI)を活用した野菜の市場価格予測アルゴリズムの開発を進めている。すでに、東京都中央卸売市場大田市場のレタス価格を月次で予測する取組を進めており、予測アルゴリズムを実証してきた。このほどレタスに加え、トマトやイチゴなど5品目の市場価格を週次単位で高精度に予測する仕組みを開発し、3月24日から無償で市場価格の予測サービスを提供した。

この実証を通じた栽培物の成長制御や物流など各プロセスの最適化などによりバリューチェーン全体を効率化し、植物工場での野菜の廃棄や販売の機会損失を減らし、業界全体の生産性と収益性の向上を目指す。

植物工場から供給する野菜は、露地栽培と異なり天候に影響されない安定生産が可能なことに加え、狭い耕地で済むことから、ここ数年生産量を著しく伸ばしている。しかし、需要は露地野菜の価格変動に大きく左右されるため、生産した野菜の廃棄や販売の機会損失が生じており、効率的な生産を可能とする植物工場本来の特徴を生かせていなかった。

廃棄や販売の機会損失低減に期待

この課題に対するものとして、NEDOは、「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」事業に取り組んでいる。具体的には、植物工場の野菜栽培過程や流通でのビッグデータ収集、これらのデータとAIを活用した需給マッチング、これに基づいた栽培物の成長制御や物流など各プロセスの最適化などによりバリューチェーン全体を効率化し、植物工場での野菜の廃棄や販売の機会損失の低減を目指している。

この事業で、㈱ファームシップ、東京大学と㈱ファームシップの再委託先の豊橋技科大、パイマテリアルデザイン㈱は、2018年度から生産・流通・販売の各段階での現場データを活用した需要予測システムと予測結果を生産現場にフィードバックする成長制御システムの研究開発を行い、2019年11月から月単位でレタスの価格予測を行う実証を進めてきた。

実証の中で、東大はレタスの栽培効率化につながるセンサーの技術開発、豊橋技科大が需要予測技術開発、パイマテリアルデザイン㈱が生育予測技術開発、㈱ファームシップがトータル・システム効率化技術開発を担当した。

こうした取組の結果、NEDOと㈱ファームシップ、豊橋技科大は、AIを活用した野菜の市場価格予測アルゴリズムの開発を進め、植物工場の野菜の需給マッチングの基礎を高度化することにより、大田市場での市場価格予測アルゴリズムを、従来の月次単位から週次単位に高精度化。3月24日にデータの無償提供を開始した。

さらに対象品目をレタスだけでなく、生産や流通量が多く、現時点で予測精度の高いトマトやイチゴなど計5品目に広げた。これにより、対象5品目の需要予測精度を高めることができ、廃棄や販売の機会損失低減効果を期待できる。

㈱ファームシップは、こうした野菜の市場価格予測アルゴリズムを植物工場技術に活用する本事業での取り組みなどが評価され、3月24日に2020年度第6回JEITAベンチャー賞(主催:一般社団法人電子情報技術産業協会)を受賞した。

 


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