2021年3月18日 デジタル教科書検討会議が中間まとめ  機能共通化など要請

 

デジタル教科書のあり方について議論している文部科学省の有識者会議は、3月17日に中間まとめを公表した。全国規模での実証的研究を行うとともに、あるべき紙の教科書との関係性に関しても議論を深めることを求めている。デジタル教科書の仕様がそれぞれ異なることなどから、機能の共通化などを要請している。文部科学省では、デジタル教科書を今から3年後の令和6年度から本格使用する方針だ。

韓国ではデジタル教科書使用率8割

デジタル教科書の普及状況は昨年3月現在で、公立学校全体では7.9%、公立小学校7.7%、同中学校9.2%、同高校5.2%。ほとんど教育現場で使用されていないのが現状だ。海外をみると、初等学校の8割、中学校の7割でデジタル教科書が使用されている韓国の例など、積極的に活用しているケースもみられる。

中間まとめでは、デジタル教科書導入の意義を強調している。「直接書き込みができ、やり直しを行うことができるため、試行錯誤することが容易」「ペア学習などの際、デジタル教科書に書き込んだ内容を見せ合うことで、効果的に対話的な学びを行うことができる」とメリットを列挙。また、デジタル教材との連携がしやすく、動画や音声を合わせて使用することで、学びの幅が広がることや、書き込んだ内容を大型テレビに提示することにより、説明部分を視覚的に明らかにすることができるなど、利点が多い。

教育効果認める部分のみ「紙の教科書配布」

その上で、本格的な導入に向けて必要となる取組としては「全国規模での実証的な研究を通じたデジタル教科書の改善や効果的な活用の検討」をあげた。改善を進める上で、求められる機能を明らかにすることが必要。規格や機能がそれぞれ異なっていることから、「今後、学校でデジタル教科書を複数の教科等で使用するようになれば、機能等が共通していることがより重要になる」と指摘した。また、異なるビューアを使用している場合でも、児童生徒や教師がしやすい標準的な規格や機能が備えられていることが求められているとした。

さらに紙の教科書との関係に関しては、これから行う全国規模の実証研究の結果を踏まえて結論付けることとしているが、「学校に備え付けた紙の教科書を貸与し、紙の教科書で学習する方が教育効果が高いと考えられる部分に限定した紙の教科書を配布する」といったことも、選択肢の一つとしている。


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