昨年来、世界的な社会問題となっている新型コロナウイルス感染症だが、感染症流行下で、10歳未満の小児のライノウイルス感染リスクが上昇していることが、東京大学教授らの研究で明らかとなった。風邪を引き起こすことで知られているライノウイルス。コロナ禍ではインフルエンザをはじめとする代表的な呼吸器感染症ウイルスの検出率は低下していたが、小児のライノウイルス検出率は著しく上昇しているという。
冬季を中心に、多くの人を悩ませる風邪だが、2割から3割が、ライノウイルスが原因と考えられている。抗原性の違いから100種類以上が存在することが知られており、ワクチンや専門の治療薬は存在しておらず、治療には対症療法が中心となる。
ライノウイルスの感染リスク上昇を見つけたのは、東大医科学研究所の河岡義裕教授らの研究グループ。横浜市で呼吸器疾患患者から検出されたウイルスを、コロナ禍前後で比較。全年齢層でインフルエンザをはじめとする代表的な呼吸器感染症の検出率は低下したが、10歳未満の小児では、ライノウイルスの検出率が著しく上昇。例年の2倍以上となった。
河岡教授らは、ライノウイルスが多く検出された要因として、アルコール消毒液がききにくいことをあげた。一方で、石鹸と手洗いはライノウイルスに有効だとしている。