国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」プロジェクトで、「セキュアオープンアーキテクチャ基盤技術とそのAIエッジ応用研究開発」を担当しているセキュアオープンアーキテクチャ・エッジ基盤技術研究組合(TRASIO)は、安全なIoT社会の実現に向けてオープンなセキュリティ技術の普及を図る『オープンコミュニティ powered by TRASIO』を10月13日に設立した。
このコミュニティでは、同プロジェクトが2020年に研究開発したオープンアーキテクチャであるRISC-V(リスク・ファイブ)をベースとしたセキュリティシステムの成果紹介や試使用、ハンズオン体験の場を提供する。ここでの活動を通して同プロジェクトの認知度を向上させるとともに、あらゆるユーザーの意見を取り入れることで研究開発成果の最大化を図る。
IoT社会の到来による情報の高度な利活用が急がれる中、ネットワークの末端(エッジ)で中心的な情報処理を行うエッジコンピューティングのように、従来のクラウド集約型ではなく処理を分散する技術の確立が求められている。また、半導体の開発指標である「ムーアの法則」がまもなく終えんするとの見方が強まり、既存技術の延長は限界を迎えつつある。
こうした現状を踏まえ、NEDOは著しく増加するデータの処理電力を劇的に低減させる新たな原理技術を開発するとともに、世界に先駆けてものづくり現場に普及させることを目指して「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」(2018~2022年度)プロジェクトを推進している。
特にIoT機器を利用したサービスを安全に実現しようとする場合、〝サービスを提供する側が想定する正規のIoT機器〟か〝想定しないIoT機器や正規のIoT機器になりすました悪意のあるIoT機器〟かを確実に判断し、正規の機器のみにサービスを提供する手段が必要となる。
こうしたなか、同プロジェクトに取り組むTRASIOは2020年にRISC-V(リスク・ファイブ)をベースとしたセキュリティシステムを開発した。今回、研究開発成果の紹介や試使用、ハンズオン体験を行う場として、RISC-Vをベースとしたオープンなセキュリティ技術の普及を図る「オープンコミュニティ powered by TRASIO」を設立することとなった。
プロジェクトでの研究開発内容を公開することにより、IoT機器のセキュリティ部分の内部構造がブラックボックス化されることなく、実際には何ができて何ができないのか、本当に正しく実装されているのか、といったことを確かめることが可能となる。