2021年7月29日 【OIST】シークヮーサーの出自の謎を解明

沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームは、沖縄名産のミカン科果実「シークヮーサー」で出自を明らかにした。マンダリン類に属するこの柑橘類は、農産品として経済的に重要な価値を有しているが、種の多様化の過程は謎だった。研究チームは、東アジアの品種のゲノムを解析。これまえ多様性の中心として知られていた中国南部の山岳地帯に加えて、琉球列島にも豊かな多様性の中心があることを発見。沖縄の在来種が約200万年前に琉球列島がアジア大陸から切り離された際に誕生した新種であることが判明した。沖縄のシークヮーサーや本州のタチバナなどの柑橘類は、今回新種であることを発見した野生種とアジア大陸の異なる品種との交配種。この研究成果は、望ましい特性を持つ交配種の開発につながる可能性があり、研究チームでは、商業的にも意義が大きいとしている。

マンダリン類に属する柑橘類は、美味しく健康にも良いという特性から、世界中で食されている。わが国では、小さなシークヮーサーや観賞用のタチバナは、食用としてだけでなく、文化的・歴史的にも重要な意味を持っている。しかし、これら二つの品種をはじめとする東アジアの柑橘類の起源については、これまで謎に包まれていた。

今回、OISTなどの共同研究チームは、東アジアの69種類のミカン科の品種とアジア大陸の品種のゲノムを解析し、種分化や地理的分散、さらに交配など広範囲に及ぶ背景を明らかにし、研究内容がNature Communications誌に掲載された。


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