2022年4月15日 【NEDO】AIでレタスの生育状況を推定する実証試験に成功 生育異常の早期発見や適切な選別により植物工場の生産性を向上

■ポイント□

〇非接触・破壊でレタスの重量測定アルゴリズムを開発

〇実測値に対する高い推定精度を確認

 

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」事業に取り組んでおり、取組の一環として、㈱ファームシップは、人工知能(AI)を活用して非接触・非破壊でレタスの重量を推定するアルゴリズムを開発している。このほど実際の植物工場で同アルゴリズムの実証試験を行い、実測値に対する高い推定精度を確認した。

このアルゴリズムは、撮影したレタスの画像を解析して重量を推定する。このため、栽培途中でも重量の効率的な測定ができ、生育異常の早期発見や適切な選別による収穫量の増加、収穫量の正確な予測などにより、植物工場の生産性向上が可能となる。

NEDOと㈱ファームシップは今後、選別精度の向上による収穫量の変化を検証するとともに、栽培データの蓄積を進める。さらに、同事業の一環で開発中の需要予測技術および成長制御技術と組み合わせることで、高精度な需給調整の実現を目指す。

AIで成長速度の遅い個体を発見・選別

植物工場は露地栽培に比べて天候に左右されず、また狭い耕地で安定的に生産できることから、近年は野菜の生産量が著しく伸びている。しかし植物工場でも生育環境を完全に均一にすることは難しく、成長速度には個体ごとのばらつきもあることから、植物工場における生育状況の効率的な把握・管理が課題となっている。

実際に植物工場で栽培しているレタスの重量分布をみると、平均の半分程度の重量しかないレタスの一定数存在する。AIによってこうした成長速度の遅い個体を早い段階で発見して選別したり、適した環境の場所に移しかえたりすることで成長のばらつきを抑えることができ、より安定的・効率的な生産が可能となる。また、平均的な分布と比較して著しい差異を早期に検知することもでき、生産不良を未然に防ぐことが可能となる。

このような背景のもと、NEDOが取り組む「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」事業で、㈱ファームシップはAIを活用した野菜の非接触・非破壊重量推定アルゴリズムの開発を進めてきた。

取組成果として、実際の植物工場で生産されたレタスの重量を開発したアルゴリズムで推定する実証試験を実施し、実測値に対して高い推定精度であることを確認することができた。


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