国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が管理法人を務め、内閣府が実施する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/自動運転(システムとサービスの拡張)」で、国内外の自動車メーカーや自動車部品メーカー、大学など計22機関は自動運転社会の実現に向けた実証試験を開始する。各機関は11月から来年3月にかけ、東京臨海副都心で公衆広域ネットワーク(V2N)からの信号情報や気象情報、交通規制、道路交通情報などを自動運転に活用する手法を検証する。また今後追加で、仮想空間における自動運転システムの安全性評価についても、10月15日まで参加者を募り有効性を検証する。
SIP第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」(SIP自動運転)では、すべての人が安心・安全に移動できる社会の実現に向け、自動運転を実用化・普及拡大することにより、交通事故の低減や交通渋滞の削減、交通制約者のモビリティの確保、物流・移動サービスのドライバー不足の改善、コスト低減などの社会的課題の解決に貢献することを目指している。このために産学官共同で取り組むべき共通課題(協調領域)を設定し、研究開発を推進している。
今回の実証試験に先立ち、交通環境情報を活用したインフラ協調型の高度な自動運転の実現を目指し、2019年10月から、東京臨海部の一般道に信号情報提供用のITS無線路側機、高精度3次元地図など、首都高速道路に合流支援のためのセンサーなどのインフラを整備。国内外の自動車メーカー、自動車部品メーカー、大学、ベンチャーなどの参加を得て実証実験を実施してきた。
こうした実績を背景に、2021年度は交通環境情報配信のしくみ構築と活用をさらに拡大するために、これまでに整備してきた高精度3次元地図情報や狭域通信(V2I)による信号情報、合流支援情報の配信などの成果に加え、公衆広域ネットワーク(V2N)により多様な交通環境情報を車両へ配信する実験環境を整備し、実証実験を行う。
新たな交通環境情報利活用の取り組みとして、車両プローブ情報を活用した車線別渋滞、交通規制、落下物情報など他事業者の有する情報、気象、模擬緊急車両、事故車に関する情報、さらには昨年度の実証実験では狭域通信(V2I)を通じて配信した信号情報についても公衆広域ネットワーク(V2N)を利用して車両へ配信する。
また、自動運転車の走行経路計画の判断や、自動運転システムが作動する前提となる走行環境条件であるODD判定、注意喚起につながる中広域の交通環境情報を生成、V2Nで配信し、安全な走行への有効性について検証する。
参加する国内外の22機関は、実証実験に使用する自動運転車の運用や運転手などの準備とともに、実験データの取得や実験結果の報告などを行う。