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国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）は、東北緑化環境保全㈱と「地熱発電技術研究開発」の一環として２０１９年８月から「優良事例形成の円滑化に資する環境保全対策技術に関する研究開発」に取り組んでいる。今回、同事業の成果として「自然環境・風致景観配慮マニュアル【改訂版】」と「配慮手法パタン参考集【改訂版】」を作成し、「地熱発電導入事業者向け環境・景観配慮マニュアル」として１１月１５日からＮＥＤＯウェブサイトに公開した。
この成果が地表調査から環境アセスメントまで幅広い場面で活用され、地熱開発適地選定の判断基準と手順の明確な指針となることで、地元自治体や地域住民などのステークホルダーと地熱開発事業者との円滑なコミュニケーションを促す。自然環境・風致景観に調和した地熱発電所の導入加速化が期待できる。
政府が主導するカーボンニュートラル実現に向けて再生可能エネルギーが注目されるなか、地熱発電は主力電源の一つとして導入・拡大に大きな期待がかかっている。一方で、地熱資源の約8割が国立・国定公園内に存在する。このため、自然環境や風致景観、公園利用への影響を最小限に留めるための技術や手法の投入など、地熱開発事業者には適切な対応（優良事例形成に向けた取り組み）が求められているが、これまで事業者の参考となる具体的な手順書がないことが課題となっていた。
そこでＮＥＤＯは、「地熱発電技術研究開発※1」の一つとして「エコロジカル・ランドスケープデザイン手法を活用した設計支援ツールの開発」で、エコロジカル・ランドスケープデザイン手法を用いた設計支援ツールを２０１８年に開発した。エコラン手法は、地域の自然生態系や地形などの潜在能力を借りて環境を保全・創出する技術で、エコシステム（生態系、地形、地質、水循環、土壌、植生など）、エンジニアリング（造成、排水、構造物など）とデザイン（ランドスケープ、景観など）の三要素の機能をバランスよく発揮させて進める設計手法。
さらに、この手法を踏まえて、「優良事例形成の円滑化に資する環境保全対策技術に関する研究開発」では、国立・国定公園特別地域の3ヵ所の事業地（それぞれ地表調査段階、坑井調査段階、環境アセスメント段階）を対象にこのツールの試験運用を実施。今回、有効性評価の結果を示すとともに、事業者が地熱開発に際しさらに使いやすいツールとして再構築した。
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