2021年10月27日 【JAXA】NASA、ボーイングと協定締結 低ソニックブーム設計で共同研究

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、米国航空宇宙局(NASA)、米国ボーイング社とともに、NASAが開発を進める飛行実証機低ソニックブーム「実験機X-59」の低ソニックブーム設計を検証する共同研究を開始した。ソニックブームは、航空機が上空を超音速で飛行する際、機体から発生する衝撃波が大気中を伝播し、地上で二度の急激な圧力変動を引き起こす現象。人には瞬間的な爆音として聞こえる。

このソニックブームを低減させるための機体形状の設計概念を適用した「D‐SEND#2(低ソニックブーム設計概念実証機)」を用いて、2015年にスウェーデンのエスレンジ実験場で飛行実験を実施。コンコルドに比べソニックブーム強度を半減できる技術を実証した。

超音速機の運航には、超音速飛行時に発生する衝撃波に起因する騒音であるソニックブームが原因となり、超音速での飛行区域が海上のみに限定されるという課題がある。国際民間航空機関(ICAO)では、2000年代初頭より陸地上空での超音速飛行を可能とするためにソニックブームの基準策定を進めており、JAXAは研究開発成果を通じて活動を支援している。三者がこれまでに培ってきた技術、知見を融合、深化させることで、今後のソニックブームの国際基準策定にさらなる貢献を果たしている。

協力の内容は、NASAが開発を進めるX-59の風洞試験模型をNASA、JAXA双方の風洞設備で試験。ソニックブーム特性に関するデータを取得・交換して相互検証するとともに、ボーイングとJAXAで当該模型の数値流体(CFD)解析(空気の流れをコンピュータ上でシミュレーションし、機体が受ける影響を解析する方法)を実施。三者によるCFD結果と風洞試験結果の比較検証を行う。

獲得したデータ、解析結果により、NASA側はX‐59の低ソニックブーム設計を高い精度で検証することができ、JAXAとしても、NASAの風洞試験結果やボーイングのCFD解析結果を利用してソニックブーム推算技術の高度化が可能となる。

この協力は、JAXAがこれまでに実施してきた超音速機技術の研究開発に関する貢献が他機関から認められた成果で、JAXAでは引き続き国内外の関係機関と連携し、超音速旅客機の実現に向けた課題解決に、グローバル・パートナーシップで取り組むこととしている。


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