ANAグループと東京工業大学は、ロボットの歩行支援によって旅行者が元気になる、新たな旅スタイルの創出をめざして連携している。東工大の三宅美博研究室が研究・開発を進め、東工大発ベンチャーの WALK-MATE LAB㈱が製品化した歩行支援ロボット『WALK-MATE』を装着して歩行する実証実験を、ANAのプロデュースにより〝旅〟を舞台に初めて実施する。
移動や旅行を躊躇していた例えばシニアなどが、自分の足でしっかりと歩ける楽しさを再発見することで元気と自信を取り戻し、歩行の改善が図られることで、健康寿命が延びることにもつながればと期待している。
共同事業の第1弾として、香川県善通寺市の四国八十八ヶ所72番札所である曼荼羅寺から73番札所の出釈迦寺までの上り坂(約500㍍)を、『WALK-MATE』を装着して歩いてもらう実証実験を12月13日に実施した。一般の参加者8名に協力してもらうことで、歩行支援ロボットを装着して旅をすることの効果と課題を検証した。
四国八十八ヶ所を巡るお遍路は、弘法大師と一緒に旅をする〝同行二人〟といわれているが、『WALK-MATE』は総本山善通寺法主である真言宗善通寺派の菅智潤管長から〝同行二人〟ロボットと認定され、今回の取り組みは歩行支援ロボットによって〝同行二人〟を実現する新たなお遍路の形となる。
シニアを中心に人気のある四国八十八ヶ所参りが、最新技術によって注目され、より多くの人が四国を訪れるきっかけとなって旅行者が増えれば、地元の地域創生にもつながると考えている。
ANAと東工大は、最新テクノロジーを適用した新たな旅スタイルを創出することにより、今後全国の地域が活性化し、人と社会を元気にすることに貢献することとしている。また、高齢化が進む日本社会で、シニアに元気になってもらうきっかけを提供するとともに、健康寿命の延伸とシニアの移動促進を推進する方針だ。
※歩行支援ロボット「WALK-MATE」:東工大発ベンチャーの WALKALK-MAT LAB ㈱で株式会社で製品化された、人と「間(ま)」が合う歩行支援ロボット。一般的なパワースーツとは違い、四肢の動作のアシストだけではなく、自力での歩行をリズムで支援し、自然で活発な歩行に改善するための機器。20180年から医療機関に歩行トレーニング用として提供されている。