順天堂大学医学部附属順天堂医院は、性的マイノリティであるLGBTQsをはじめ多様な性的指向・性自認(SOGI)を有する人たちの受診・入院に伴う相談窓口として、院内に「SOGI相談窓口」を開設した。
当事者が安心して相談できるよう、レインボーバッジをつけたアライ(Ally:LGBTQsなど性的少数者への支援者や理解者であることを示す)の医師と看護師が相談窓口で対応するとともに、不安を抱えたまま治療が始まることがないよう、アライの職員を中心に各診療科との協力体制も整備している。
医療者の何気ないやり取りが「苦痛」
病院の受診など医療に関わる場面は、LGBTQs当事者が困難に直面する状況のひとつといわれている一方で、医療現場では、このような当事者たちが受診・入院することを想定した環境整備がいまだ不十分であるのが現状。
医療現場でよく見られるやり取りとして、受付での保険証提示や待合室で名前を呼ばれる場面、問診における異性愛を想定した言葉かけなどがあるが、医療者が何気なく行っているやり取りに傷ついたり、苦痛を感じる当事者は多く、受診をためらわせる大きな要因にもなっている。
昨年5月に国内でトランスジェンダーを対象に行われた調査では、約半数(48.1%)が風邪、けが、体調不良時に医療機関の受診をためらったことがあると回答している。その結果、治療が遅れてしまう事態も生じてしまうことから、医療現場で多様な性のあり方に配慮し、誰もが受診しやすい環境づくりを行うことが不可欠となっている。
順天堂医院では、今年5月にワーキンググループを立ち上げ、職員への研修を進めてきた。これまでに職員有志93名が研修を受講し、アライであることを示すレインボーバッジを身につけている。今回新たに開設した相談窓口における対応や、診療科との連携を担っているのも、研修を修了したアライの職員。