□ポイント■
〇MRIを用いて非侵襲的に脳のクリアランスシステムを評価
〇脳クリアランスシステムと脳内アミロイドベータ沈着及び認知機能障害との関連が明らかに
〇アルツハイマー病の新たな予防法・治療法につながる可能性
順天堂大学医学研究科放射線診断学の鎌形康司准教授、高林海斗研究員、青木茂樹教授、及び順天堂大学健康データサイエンス学部開設準備室のアンディカ・クリスティナ 特任助教らの研究グループは脳MRIによって、アルツハイマー病患者での脳内アミロイドベータ(脳内で生成されるタンパク質の一種)沈着と認知機能障害に脳クリアランスシステムの機能不全が関与していることを明らかにした。米国ADNIが公開するMRIデータをもとに、脳クリアランスシステムの間接的な指標の評価を行ったところ、アルツハイマー病患者では血管周囲腔体積、脳間質液量が多く、血管周囲腔に沿った水の拡散率が低いことが分かった。さらに、これらのMRI指標は脳脊髄液中のアミロイドベータ量や認知機能障害と有意な関連があることが判明した。
この研究の成果は、MRIを使用して非侵襲的に脳クリアランスシステムの評価が可能であることを示すともに、クリアランスシステム機能の改善がアルツハイマー病患者の新たな予防法・治療法となる可能性を示している。
研究論文は、米国神経科学アカデミーの医学雑誌であるNeurology誌オンライン版に、9月19日に公開された。