2022年8月31日 【順天堂大】職場での不妊治療関連のハラスメントの要因を調査「職場でのサポート体制の整備と不妊治療に関する啓発活動の両立が重要」

順天堂大学の共同研究グループは、国内で不妊治療専門の医療機関の外来を受診した女性患者を対象として、不妊治療と就労の両立に関する大規模疫学研究を実施した。その結果、不妊治療中に職場で不妊治療関連のハラスメントを経験した女性は、7.4%にのぼり、その要因として「体外受精の回数が多いこと」、「職場に不妊治療をしていることを伝えていること」が関連していることが明らかになった。この調査結果により、不妊治療関連のハラスメントの予防と解決に繋がり、不妊治療と就労の両立につながることが期待される。この研究は、産業医学の国際誌「International Archives of Occupational and Environmental Health」に掲載された。

国内出生数過去50年で半減

日本国内の出生数は、過去50年間でおおよそ半減しており、著しいスピードで減少している(1970年:193万4239人、2020年:84万0835人)。また、女性の社会進出に伴い、初婚と初産の年齢が上昇している初婚:1970年 24.7歳、2020年 29.4歳、最初の出産:1970年 25.6歳、2020年 30.7歳)。

このような状況の中で、不妊治療を受ける夫婦の数が増加している。加えて、体外受精の技術が過去数十年で大きく進歩を遂げており、国内では体外受精の症例数が昨今大きく増えている。

不妊治療への理解得られず、退職も

不妊治療は、治療が進むにつれて身体的、心理的、そしてスケジュールの面でも負担が大きくなる。特に体外受精を含む生殖補助医療は、個々の月経周期に合わせた頻繁な通院が必要。しかしながら、仕事をしている女性が不妊治療を行ううえで、職場の理解が得られず、退職せざるを得なかったり、解雇やハラスメントを受けることも少なくないと考えられている。

令和2年6月に施行された、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」により、雇用者は職場におけるセクシュアルハラスメントについて、防止措置を講じることが義務付けられた。

その中で、業務体制の整備など、職場における妊娠・出産などに関するハラスメントの原因や、背景となる要因を解消するために必要な措置を講ずる責務が明記された。

このことから、今後一層職場での不妊治療中の女性へのハラスメント対策が注目されると考えられる。

しかし、現状では不妊治療中の女性におけるハラスメントに焦点を当てた研究は報告されてない。そこで、職場での不妊治療関連のハラスメントの現状とその要因を明らかにすることを目的に調査を実施した。


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