順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学の南野 徹教授らの研究グループは、加齢関連疾患への治療応用を可能にする老化細胞除去ワクチンの開発に成功した。これまで加齢により組織に老化細胞が蓄積し、慢性炎症が誘発されることで様々な加齢関連疾患の発症や進行につながることが少しずつ明らかになってきたが、病的な老化細胞を副作用なしに選択的に除去する方法はなかった。今回、研究グループは、マウスの老化細胞に特異的に発現する老化抗原を同定し、その抗原を標的とした老化細胞除去ワクチンを作成して老化細胞を除去したところ、肥満に伴う糖代謝異常や動脈硬化、加齢に伴うフレイルが改善するばかりでなく、早老症マウスの寿命を延長しうることを確認した。
この研究成果は、アルツハイマー病を含めたさまざまな加齢関連疾患の治療への応用の可能性を示唆するもの。論文はNature Aging誌のオンライン版に12月11日付で公開された。