2021年12月15日 【順天堂大】新型コロナ抗原検出試薬の高い検出能力を確認

順天堂大学大学院医学研究科臨床病態検査医学の田部陽子教授、藍智彦非常勤講師、齋藤香里研究員らの研究グループは、シスメックス㈱との共同研究で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原検出試薬「HISCLTM SARS-CoV‐⑵ Ag 試薬」の性能評価を行い、鼻咽頭ぬぐい液中の新型コロナウイルスを高い感度で検出することを確認した。この成果は同試薬が、臨床診断に有用なレベルで新型コロナウイルス抗原を正確に検出できることを示した。同試薬を用いた検査法は、全自動で、短時間に多くの検体を処理できることから、新型コロナウイルス感染症に関する大規模な検体のスクリーニングに役立つものと期待される。この研究結果は、英国科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版で公開された。

新型コロナウイルス感染防止対策として、正確で簡便かつ迅速な検査の重要性は明らかです。現状はリアルタイムPCR法を用いた検査が最も感度が高く正確とされているが、検査方法が煩雑であり、コストが高いこと、さらに感染性がないウイルスの断片でも検出してしまうことなどが課題となっている。

そこで、新型コロナウイルス感染症の補助診断に用いる検査法として、シスメックス社により新型コロナウイルス抗原検出検査試薬「HISCLTM SARS‐CoV‐2 Ag試薬」が開発されまた。この試薬を用いた抗原検査は、全自動測定装置を用いることで、鼻咽頭ぬぐい液中の新型コロナウイルスを短時間で、簡便かつ簡易な核酸検出検査である LAMP法やTMA法に近い感度で検出することができる。

この自動抗原検出システムは、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)を使用して新型コロナウイルスが持つタンパク質を特異的に検出し、1時間あたり最大200検体を処理できるため、大規模なスクリーニング検査に適している。

この研究では、新型コロナウイルス感染者の迅速かつ大規模なスクリーニングを可能にする可能性を持つ新型コロナウイルス抗原検出検査試薬の臨床での有用性を検証するための性能評価を行った。


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