順天堂大学と㈱パートナーズ(本社:横浜市)は、共同研究講座「食と生殖機能先端研究講座」をこの夏開設した。生殖医療の補助となり得るサプリメントの有効性や機序についての検証を行い、不妊症の改善につなげるサプリメントの開発を目指す。また、それを用いた不妊治療法の開発だけでなく、患者カップルが取り組める不妊予防法の確立に貢献することも目的としている。
ここ数年、晩婚化に伴い、女性不妊患者の高齢化が進み、加齢により卵巣機能が低下した難治性不妊が増加している。その結果、生殖補助医療の有効性は限定的にならざるを得なくなり、治療を繰り返しても結果が伴わないケースが増加し、医療提供者にも、患者カップルにも、治療に行き詰まり感をもたらしている。
このことは、現在、生殖補助医療での大きな問題となっており、解決が切望されている。近年では、生殖医学研究でアンチエイジング作用や着床環境改善作用、造精機能改善作用等を示す可能性のあるサプリメントが見出され、使用されているが、現時点ではエビデンスは確立されていない。
また、サプリメントは法的には食品に属することから、品質や性能には大きなバラツキがあり、適切な使用には程遠いのが実情。このため、科学的なプロセスを経た方法によって、真に有効かつ、安全なサプリメントの創出への期待が高まっている。
「食と生殖機能先端研究講座」は、早発卵巣不全の治療での第一人者として卵巣機能不全治療の臨床成績向上のための基礎及び臨床研究を進めている順天堂大大学院医学研究科産婦人科学の河村和弘教授を研究代表者とし、ART(生殖補助医療)を実施する医療機関に特化したサプリメントメーカーであるパートナーズと共同で、妊活サプリメントの動物試験による有効性評価や妊活サプリメントの体内動態の解析、妊活サプリメントの臨床試験を実施する。こうした取組により、妊活サプリメントの不妊改善への効果検証と不妊症の改善に寄与するサプリメントの開発、さらには、患者カップルが自ら取り組める不妊予防法の確立を目指す。