2021年8月17日 【電通大】安価なCO2センサ、約7割が「粗悪」 67%が反応せず

 

電気通信大学の研究グループは、新型コロナウイルス感染症の対策用として、ECサイトで販売されている5000円以下の安価な二酸化炭素濃度測定器(COセンサ)の精度を検証した。全体の25%は低精度ながらもCOに反応したが、67%はCOに反応しなかった。さらに、これら67%の無反応センサはすべて消毒用アルコールに強く反応することが明らかになった。COセンサと謳いながら、CO濃度を疑似的に表示する測定器が市場に多く出回っている可能性が浮き彫りとなった。

この研究成果は、電通大の石垣 陽特任准教授、榎木光治准教授、横川慎二教授により示された。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには、〝換気の悪い密閉空間〟や〝人の密集〟を避けることが有効とされている。このため、換気ができているか、密を防げているかの目安として、室内の二酸化炭素(CO)濃度の計測・可視化が注目されている。

電通大はこれまで、調布駅前商店街との共同実証実験により、飲食店・学習塾・スポーツジムなどのCO濃度を可視化してきた。また同大の附属図書館内に設置するアクティブラーニングスペース「Ambient Intelligence Agora」では、CO2センサを含む194台の環境センサを常時配置。そこで蓄積された約3.5年分のビッグデータは室内環境の分析・予測の研究に活用されている。

令和3年度の入学式では、20台のCO2センサを使った式場内のCO濃度分布のリアルタイム可視化を行った。また地下ライブハウスのような一般に換気しにくいと言われる場所での対策を提言するための実証実験を、アイドルグループ「仮面女子」やヴィジュアル系バンド「えんそく」と共に行っている。

さらに、調布市のワクチン接種会場での三密を回避するため、会場内でのCO濃度のリアルタイム可視化も行ってきた。このほか、三鷹市の公共施設でのモニタリングも開始している。

同大の取り組みによりCO濃度測定の理解が広がり、店舗や事業所で普及の普及が進む一方で、昨今、ECサイトでの安価なCOセンサの取り扱いが急増している。しかしCO濃度をヒトが体感することは難しいため、センサが正しく動作しているか否かを一般市民が確認することは困難。そこで研究チームでは、市場で販売されているセンサを購入し、精度検証を行った。


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