2021年6月28日 【防災科研】企業と災害対応ドローンの協業型研究 消防防災分野での社会実装に向け

国立開発研究法人防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は、総合人材サービス・パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジー㈱(東京都江東区)ととともに、災害対応のドローンソリューション『GEORIS』の消防防災分野での社会実装に向けた協業型研究を開始した。令和3年度消防防災科学技術研究推進制度の採択を受けて、神戸市消防局、釜石大槌地区行政事務組合消防本部と連携しながら研究を進める。

この取組では、まずは神戸市消防局と大槌地区行政事務組合消防本部が、研究成果を2年後に現場主導で活用することを目指し、今年度は①Web‐GIS「mapper」の基礎研究と、②モデルユーザーによるパフォーマンス検証のためのシナリオ開発を進める。

「mapper」は災害時の情報収集や現場活用に最適化した用途特化型の地図システム。迅速に被害状況を把握するため、⑴ドローンの空撮を用いた地図画像(オルソ画像)を作成できる機能、⑵被害状況を共有するために現場活動で撮影した写真(倒壊した家屋等)のマッピング機能、⑶被害情報の追加編集ができる機能、⑷捜索済みのルート(現場の捜索隊が通ったルート)が一目で分かる捜索箇所のマッピング機能等を開発する。

また、モデルユーザーと意見交換やシナリオ検討状況を情報連携しながら詳細設計を進める。

モデルユーザーによるパフォーマンス検証は、mapperを使用した実証実験に向けて、実証シナリオを支援機関の神戸消防局が主体となって作成する。その前段として、mapper活用に当たって必要となるドローンや情報の扱い方、自然災害での知識などを育成カリキュラムとして実施する。

また、例えばmapper検証に向けて、実災害で有効な検証シナリオを作成する。例えば、広範囲・大規模な火災が発生した際に、火源はどこなのか、どの範囲で延焼しているのかといった情報が必要とされ、そのような情報収集にドローンによるFPV(ドローンに搭載されたカメラでリアルタイムに映像を見ることができる機能)活用が期待されている。

また、山での遭難事故における早期解決には、遭難者の場所の特定や、捜索関係者間での情報伝達が重要。山では木々によって遭難者が隠れてしまう可能性が高いため、現場隊員と指揮所および防災ヘリコプター間で、地図や位置情報を活用した捜索経路、捜索地点の共有に期待値が高いことが判明している。

このように現場視点での仮説を立て、検証シナリオをモデルユーザーが主体となって作成を進めている。

 


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