□ポイント■
〇北河内地区の小学校や公共施設へ無料配布
〇専門医や認定看護師が監修、府のがん教育の目的とも合致
〇府地域連携強化事業補助金を活用
関西医科大学の倉田宝保呼吸器腫瘍内科学講座教授が会長を務める「北河内がん診療ネットワーク協議会は、がん教育・がんの啓発活動を目的とした絵本『笑顔のチケット』(絵:すずきたかはる氏)を発刊した。
コロナ禍においてがん検診の受診率は北河内医療圏でも停滞しており、大規模なイベント実施が難しく、がんの啓発活動が思うように進められていない。こうした現状を打破するため、協議会では絵本プロジェクトを開始した。
同プロジェクトは、令和3年度大阪府地域連携強化事業補助金に採択され、協議会に所属するがん診療拠点病院のがん専門医とがん看護専門看護師が監修。がんに関する基礎知識と、早期発見の大切さを織り込んだストーリーで構成されている。この絵本は北河内地区の小学校や公共施設への無料配布を予定しており、小児世代へのがん知識の啓発教材としての役割が期待されている。
大阪府が中学校・小学校・高校で実施するがんの予防に向けた学習活動(がん教育)の目的である〝生徒ががんについての正しい知識とがん患者等に対する理解を深めること〟にも合致するものとみられる。
さらに、絵本を読んだ児童生徒から家族へがん検診の受診を訴えてもらうことで、自らの意思でがん検診を受診する可能性が低い人に対して、受診のきっかけとなり、早期発見に繋げる役割も期待される。
多くの人々に目にしてもらえるよう、印刷物だけでなく、Web上からPDFでのダウンロードも可能となっており、タブレットで授業や家庭でも閲覧できる。
協議会では、今後も緩和ケアやがん治療などのテーマで絵本プロジェクトを継続する予定で、北河内医療圏でのがん診療連携体制の強化と、がん医療水準の向上を目的に、より一層のがん啓発活動を進めることとしている。