長崎大学は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業」に採択された。この事業は、わが国新型コロナウイルスワクチン開発の遅れの反省から策定されたワクチン開発国家戦略に基づくもの。ワクチン開発が可能な大学・研究機関を選別し、世界トップレベルの研究開発拠点を国内に形成することを目的としている。
長崎大は、東京大(フラッグシップ拠点)、北海道大、千葉大、大阪大(いずれも、シナジー拠点)とともに、拠点の一つに選ばれた。フラッグシップ拠点は研究開発の中心となる拠点で、シナジー拠点は研究開発をそれぞれの強みを活かし行い、お互いの相乗効果が期待される拠点。
長崎大のワクチン研究開発拠点は、今年4月1日に新設した「感染症研究出島特区」に設置し、塩野義製薬㈱、NECオンコイミュニティAS社、KMバイオロジクス㈱とともに、人類の脅威となる感染症に対するワクチン開発を実施する。
特に、長崎大がこれまで研究してきた高病原性病原体(エボラ出血熱などを引き起こす危険な病原体)や熱帯性病原体(デング熱、マラリアなど、熱帯地域に広がる感染症の病原体)を対象としたワクチン開発を推進する。
さらに、長崎大と参画企業が特許を有する脂質ナノ粒子(LNP)の応用、さらには、AI(人工知能)を活用したワクチン開発を進める。また、世界から感染症に関する情報収集を行い、有事に迅速に対応できる体制を構築することも目指す。
これらの取組により、長崎大は、将来の世界的感染症の流行時に100日以内でのワクチン供給を視野に入れた国家戦略に寄与するだけでなく、国民の健康と経済を感染症から守ることに貢献する。
事業実施の母体となる感染症研究出島特区に対しては、産・官・学の7団体等で構成された長崎都市経営戦略推進会議から支援の表明されている。