2022年3月4日 【都立大】壁に吹き付けられた泡沫はいつ液体を失うのか? 泡沫の長時間保持と応用に期待

生クリームやカプチーノなどの食品から、ハンドソープや洗顔フォーム、食器洗い用洗剤の泡などの日用品、さらには消火用の泡まで、人々はさまざまな場面で泡沫(フォーム)を利用している。壁に吹き付けられた泡沫は液体とは異なり、すぐには流れ落ちず、ある程度の時間、壁にとどまる。このため、泡沫に殺菌剤などの有効成分を含ませることで、長時間、有効成分の効果を発揮させることが可能。一方で、条件によっては泡沫から液体が流れ出てしまうことがある。しかし、重力下における泡沫の挙動については解明されていないことが多くみられた。

東京都立大学大学院理学研究科物理学専攻の谷茉莉助教、栗田玲教授らの研究グループは、壁に吹き付けられた泡沫が、重力によっていつ液体を失うのかに着目し、シンプルなモデル実験と理論から、泡沫が液体を失う物理的条件を明らかにした。

このようなメカニズムの解明は、泡沫を特定の場所に長時間保持させるために重要であり、効率よく有効成分の機能を発揮させることが可能となる。例えば少量の溶剤で効率よく洗浄を行うことが可能となり、この研究結果はSDGSの観点からも重要といえる。

研究グループは、食器洗い用洗剤を薄めた溶液にポンプから気体を注入することで、泡沫を作成した。泡沫を平行板で挟み、気泡が一層の円形の泡沫(泡沫滴と呼ぶ)となるようにした。

その後、このセルを傾けることで、重力によって泡沫滴がどのように運動するかをカメラで撮影した。その結果、泡沫滴の下端に溜まった液体がちぎれる場合があることがわかった。この液滴がちぎれる様子は、水道の蛇口などから水滴がちぎれる様子によく似ていることから、この液滴ちぎれを「ピンチオフ」と呼ぶ。一方で、泡沫滴が一体のまま下降し、ピンチオフが起きない場合もあることがわかった。


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