2022年3月16日 【近畿大】飛沫を吸引する空間飛沫除菌装置を開発 医療現場の知見を生かし、新型コロナウイルスの感染リスクを軽減

■ポイント□

○飛沫を吸引する空間飛沫除菌装置「eLENA Lin」を開発

○医療での作業環境測定の知識を生かし、医学物理の専門家が空気の流れを検証

○空間飛沫除菌装置内部の捕集フィルタ周囲環境を生物学的に検証

近畿大学医学部(大阪府大阪狭山市)放射線医学教室(放射線腫瘍学部門)の門前 一教授を中心とした研究チームと、フジデノロ㈱(本社:愛知県小牧市)は、人と人が対面する空間を除菌する空間飛沫除菌装置『eLENA Lin(エレナリン)」を共同開発した。新型コロナウイルス感染防止対策として、呼気や会話、咳・くしゃみで発生する飛沫を吸引し、ウイルスを捕集、不活化させる装置。3月28日に販売を開始する。

この装置開発は、近畿大が全学を挙げて取り組んでいる「〝オール近大〟新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト」の一環として実施したもの。

空間飛沫除菌装置「eLENA Lin(エレナリン)」は、拡大する新型コロナウイルス感染症に対して、換気が十分に施されている場所ではクラスターの発生が少ないことに着目。対面空間で空気を吸入してウイルスを捕集できれば感染拡大を緩和できるのではないかという仮説の下、開発された。

対面空間内で呼気や会話、咳・くしゃみで発生する飛沫を吸引し、ウイルスを捕集して紫外線LEDで不活性化させる機能を搭載している。

暗室のクリーンルーム内で、人の口からの細かな飛沫を模した煙を放出し、吸引テストを行った。その結果、空間飛沫除菌装置がある場所では、煙を90%程度低減できることを確認した。

霧吹きを用いて、大きな飛沫を模したミストを放出した吸引テストでも、ミストを90%程度低減できた。また、紫外線LEDにより、フィルターに捕集されたウイルスが5分間で99%程度不活化することを検証した。

これらの検証結果によって、装置から排出される空気が安全であることも示し、新型コロナウイルス感染症拡大対策としての有用性を確認した。人と人が対面するホテルや飲食店、会議室など、さまざまな場所での活用が期待される。


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