■ポイント□
〇キャビア生産に伴うオスのチョウザメの有効活用を目的に、地元企業との連携でカレーを開発
〇チョウザメ魚肉の淡白で弾力ある食感を生かした、スパイシーな本格カレー
〇キャビア生産事業の推進とともに、魚肉も活用することで地域貢献に寄与
近畿大学水産研究所(和歌山県白浜町)は、鮮魚仲卸業等を行う清新通産㈱(和歌山県白浜町)と連携し、キャビア生産に伴い有効利用が課題となっているオスのチョウザメを活用したカレーの缶詰『近大産チョウザメカリー』を開発した。チョウザメ特有の淡白で弾力のある食感を生かし、スパイシーで本格的なカレーに仕上げている。昨年12月27日から、白浜町の名勝・千畳敷にある物産品販売店「茜・千畳茶屋」などで販売している。
近畿大水産研究所は、平成7年(1995年)から新宮実験場でチョウザメの研究に取り組んでおり、平成20年(2008年)に「近大キャビア」の販売を開始した。ここ数年は近大キャビアの生産拡大に取り組んでおり、令和3年(2021年)には和歌山県内自治体のふるさと納税共通返礼品に採用され、大手百貨店や高級スーパーでの販売も始まった。さらにチョウザメの全メス化などキャビア生産にともなう養殖技術研究に取り組むとともに、和歌山県の特産品としてキャビアの増産・ブランド化を進めている。
一方で、キャビア生産では、採卵対象でないオスのチョウザメや、採卵後のメスのチョウザメの魚肉利用が課題となっていた。有効活用について検討していたところ、和歌山県白浜町内で鮮魚仲卸業等を行う清新通産株式会社から申し出があり、令和3年(2021年)から共同で商品開発に取り組んできた。
昨年5月に、チョウザメの魚肉を使ったカレーの缶詰を試験的に製造・販売したところ好評であったため、今回、『近大産チョウザメカリー』として正式に商品化することになった。チョウザメ特有の淡白な味わいと弾力ある食感を生かすため、スパイシーな味に仕上げている。地元企業と連携してチョウザメ魚肉を有効活用することで、地域貢献に貢献する。