2022年8月3日 【近畿大】「ブリ」のうまみと「ヒラマサ」の歯ごたえ 近大生まれのハイブリッド種「ブリヒラ」がベイシア全店舗で販売開始

ショッピングセンターチェーンを経営する㈱ベイシア(本社:群馬県前橋市)は8月1日から、近畿大学(大阪府東大阪市、学長:細井 美彦)が開発したブリとヒラマサのハイブリッド種「ブリヒラ」を、昨年に続きベイシア全店舗で販売する(ベイシアマートを除く)。「ブリヒラ」は近畿大が開発し、関連会社である㈱アーマリン近大を介して種苗として販売され、養殖業者が成魚まで育てた魚。〝ブリ〟のうまみに〝ヒラマサ〟の歯ごたえと美しさを兼ね備えた魚で、昨年の販売では大いに好評を得ていた。産学連携による本格生産が軌道に乗り、昨年の5万尾から今年は数量をさらに拡大し、8万尾を販売する。

「ブリヒラ」は、養殖用種苗(稚魚)生産技術で世界的な研究機関である近畿大水産研究所が、異なる魚の性質を受け継ぐ交雑魚研究のなかで、ブリ(雌)とヒラマサ(雄)の交配により開発した近大独自の魚種で「ブリヒラ」は近畿大の登録商標であり、「ブリヒラ」の名前が使用できるのは近畿大産ブリヒラ種苗を用いて養殖したものだけ。

ブリの雌とヒラマサの雄の交配によってつくられた、いわばハーフの魚。ブリはうまみがある魚として多くの人々に愛されているが、身が柔らかく、血合いの割合が多いため、夏場に血合いが変色しやすくなる。

一方で、ヒラマサは血合いが少なく、身質がしっかりしていて見た目にも美しい魚で、特に品質を保持しやすいことから夏に重宝されている。「ブリヒラ」はこの二つの魚種の〝いいとこどり〟をしたハイブリッド魚種。ブリの〝うまみ〟にヒラマサの〝歯ごたえと美しさ〟を兼ね備えた大変おいしい魚で、特に寿司や刺身等の生食に適している。

水産資源の枯渇問題に立ち向かう

人口増加に伴う水産資源の枯渇問題が世界的に懸念されている昨今、近畿大水産研究所は古くから持続可能な食料供給の方法として「人工種苗による養殖」の研究を進めている。人工種苗とは人工的に生産された養殖用の稚魚や卵のことで、天然資源を減らすことなく、必要な魚を必要な量だけ生み出すことができる持続可能な養殖方法として知られている。

ブリヒラは自然界でも稀に自然交配するが、一般に流通できるだけの量は存在しない。養殖に必要な種苗の量を生み出して提供できるのは、長年の実績により養殖技術で世界をけん引する近畿大だけの特殊な技術によるもの。

生食用の青魚は「変色しにくい」「身質が維持される」「適度な脂の乗りがあっておいしい」という要求を満たす必要があり、同大では、ブリヒラは安全な技術でそれらを満たすことが可能。また、このように本来の天然魚では満たせない条件を満たすことで、食品ロスの低減に貢献したいと考えている。


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