2022年3月17日 【農研機構】旭化成とスマートフードチェーン構築のための共同研究 高断熱・密閉ボックスを活用した青果の新しい輸送方法を開始

■ポイント□

○スマートチェーン構築へ農研機構と旭化成が共同研究

○青果物の輸送・保管状況を可視化

○〝環境負荷の軽減〟に貢献

 

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(本部:茨城県つくば市)は、旭化成㈱(本社:東京都千代田区)と、スマートフードチェーン構築を目指し、2019年1月から共同研究に取り組んできた。今年4月、旭化成は本研究成果の社会実装として、大手物流業者と連携し、青果輸送に取り組む。これまで把握することが困難であった青果物の輸送・保管条件を可視化し、データに基づき流通を最適化することで青果物の鮮度保持による「フードロスの削減」と輸送・保管の最適化による物流チェーンの構築による〝環境負荷の軽減〟に貢献する。

スマートフードチェーンは、生産から消費に至るまでの情報を連携し、生産の高度化や販売における付加価値向上、流通最適化等による農業者の所得向上を可能とするデータ連携基盤(システム)のこと。

青果物は、収穫後も自らの栄養成分を消耗しながら生命を維持している。特に、ブロッコリー、アスパラガスなどの呼吸量の多い野菜類では、低温管理により呼吸を抑制し、植物体内のエネルギーの消耗を少なくすることで品質の低下を防ぐことができる。

また、湿度管理により青果物のみずみずしさを保ち、結露による細菌やカビの増殖を防ぐことができ、さらにガス組成を管理することで、熟度のコントロールや、劣化・腐敗を遅らせることも可能。このように、収穫後に鮮度高く保つための輸送・保管には、適切な環境(温度・湿度・ガス組成・菌数)の管理が必要になる。

研究では、農研機構の持つ植物生理学の知見による青果物の劣化機構の解明や、それに基づく実証実験によりさまざまな青果物の品質保持条件(温度・湿度・ガス組成・菌数など)を明らかにしました。最適な輸送・保管環境の指標をつくり、消費までの劣化を減らすことでフードロスの削減に貢献することを目指している。

配送中の青果物の状況〝いつでもどこでも〟把握

青果物の輸送は、冷蔵トラックが主流だが、輸送時のCO2排出や長距離トラックのドライバー不足は社会課題となっている。この輸送を鉄道や船舶の利用へと転換する「モーダルシフト」が解決策の一つとされているが、多くの鉄道や船舶には冷蔵システムが無く、常温輸送となるため、青果物の輸送には向かなかった。

しかし、旭化成の「Fresh Logi™密閉ボックス」を活用することで、輸送・保管環境(温度・湿度・ガス組成など)の適切な管理を実現でき、冷蔵システムが無い輸送手段を青果物の輸送に活用できるようになる。

さらに、密閉ボックス内の輸送・保管環境をセンシングし、農研機構のデータ解析技術と同社のインフォマティクス技術を用いることで青果物の鮮度を推定・予測する「Fresh Logi™システム」を構築した。このシステムはクラウドにも対応しており、インターネットを介して輸送時の青果物の状況を〝いつでもどこでも〟把握することができる。


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