急勾配法面における草刈作業は刈払機を用いて人手により行われる場合が多いが、法面での作業となるため姿勢が不安定で、作業中の転倒・転落事故が多く発生している。また、中山間地域は平地に比べて法面等耕作地周辺の面積割合が高く、管理作業が生産者の大きな負担となっている。作業者が安全な場所から効率的に草刈作業を行える草刈機の開発が要望されていた。
このため、㈱IHIアグリテック(本社:北海道千歳市)、農研機構と福島県農業総合センター(本部:郡山市)は、リモコン操作で1㍍を超える雑草の繁茂した急勾配法面で作業を行うことができるハンマーナイフ式の草刈機について共同研究を行い、現地試験等の結果、市販の草刈機(リモコン式、歩行型、刈払機)の2倍以上の作業能率で草刈りを行うことができた。IHIアグリテックでは、今年6月に台数限定で市販を開始する予定。
ここ数年来の急勾配法面等の草刈作業での労働力不足の深刻化に伴い、中山間地域の草刈作業の機械化に関して様々な研究開発を行ってきた農研機構に対し、生産現場から改めて作業の省力・軽労化に関する開発・実用化の要望が寄せられていた。このため、過去に蓄積された研究開発の知見をもとに、IHIアグリテック、農研機構、福島県農業総合センターで構成するコンソーシアムを結成。2019年から農業機械技術クラスター事業として実用化に向けた共同研究に取り組んできた。