農研機構は、収量が高く品質も良好で、かつ冷涼地でも収量が確保できるサツマイモ新品種『ゆきこまち』を開発した。近年のサツマイモ需要増加と品不足の打開策として、これまでサツマイモの経済栽培が難しいとされた冷涼な地域での新たな産地形成に役立つことが期待できる。
ここ数年の焼き芋ブームを背景に、青果用のサツマイモの国内需要は伸びており、輸出も急拡大している。しかし、我が国のサツマイモの栽培面積は病害虫の発生や生産者の高齢化もあって年々減少している。
現在、国内の主要な産地は九州の鹿児島県、宮崎県、関東の茨城県、千葉県で、この4県で約7割を占めている。サツマイモは寒さに弱い作物ことから、福島県あたりが経済栽培の北限とされてきたが、温暖化に伴う夏季の気温の上昇傾向もあり、これまでは栽培には不向きとされていた冷涼な地域で栽培を行う動きが出てきた。しかし、冷涼な地域で栽培した場合には、これまでは品質の良いサツマイモを安定的に生産するのは困難だった。
そこで、農研機構では、従来の品種に比べて多収で、冷涼な地域でも栽培できる新品種『ゆきこまち』を開発した。この品種を導入することで、北海道のような冷涼地でも新たな産地形成が可能となり、サツマイモの生産基盤の強化につながることが期待される。
『ゆきこまち』の種苗は、農研機構との間で許諾契約を行った民間種苗会社等を通じて供給を行う予定。