東京農工大学大学院農学研究院応用生命化学部門の蓮見惠司教授の研究成果の実用化を手掛ける㈱ティムス(本社 東京都府中市)が、11月22日に東京証券取引所グロース市場へ上場した。ティムスでは、蓮見教授らが発見した血栓溶解を促進する生理活性物質「SMTP」の開発を中心に事業を展開している。この上場を機に、今後の開発の加速が期待される。
㈱ティムスは、蓮見農工大教授の研究成果の実用化を目的として2005年に設立された。蓮見教授は、ティムスで研究成果実用化のための兼業として取締役(2005‐11年)、代表取締役社長(2011年‐18年)、取締役チーフサイエンティスト(2018‐20年)、取締役会長(2020年‐現在)を務めており、血栓溶解を促進する生理活性物質「SMTP」の医薬開発を牽引し、米製薬大手バイオジェンへの導出に貢献している。
「SMTP」は、クロカビから発見した60種類以上の同族体(類似構造の化合物)群。SMTP同族体のいくつかは、①血栓溶解促進、②抗炎症活性、③抗酸化活性‐の三つの作用を持ち、複合的効果により優れた脳梗塞改善作用を示している。
ティムスでは、このグループの一つを脳梗塞の治療を目的として開発し(2015年・臨床第Ⅰ相試験完了、2021年・前期臨床第Ⅱ相試験完了)、2021年にバイオジェンへ導出した。
また、血栓溶解促進作用を持たず、抗炎症・抗酸化作用を有する同族体は炎症性病態の改善に効果を示します。現在、ティムスではこのグループの一つを炎症性疾患の治療を目的として開発している(非臨床開発実施中)。