萩生田光一文部科学大臣は、新型コロナウイルス感染症の拡大が著しい大阪市の松井市長が小中学校に対してオンライン授業を求めたとの報道に関して、文科省から何らかの要請を行った事実はないと説明した。5月21日の閣議後会見で、記者からの質問に答えた。ウイルス変異株拡大という大阪の現状への理解を示したうえで、「慎重な対応が必要だが、学校を閉めるというのは最後の手段」と述べ、感染状況に応じた対応を行うことが必要とのこれまでの方針をあらためて示した。
設置者の自治体の判断で行うことは結構
萩生田大臣は「文部科学省として大阪市に特別にお願いをしたことはない。もちろん、変異株等が拡大している事態を考えたら、安易に考えてはいけないので、慎重な対応が必要だが、他方、学校を閉めるというのは、最後の手段。社会的にも大きな影響がある」と説明した。
また、昨年のいろいろな検証をするなかで、授業が遅れる以外にも、心身ともに子供たちにさまざまな影響を与えることが心配されることから、できる限り、学校現場には感染状況に応じて頑張っていただきたいと述べた。
松井市長の要請に関しては、「医療崩壊といわれるほど切羽詰まった状況で、少しでも感染拡大を抑止をしたいという思いのなかで、一時的に学校教育をオンラインを活用したものに転換しようということではないか」と代弁。松井市長の要請に対しては、「設置者である自治体の判断で行うことは結構」と答えたという。
記者からは、市長の方針に学校現場が混乱しているのではないかという質問が寄せられた。萩生田大臣は「4月時点で、全国でまだパソコンやタブレットが進んでいない自治体も64自治体あったなかで、大阪市は早めに準備をしていたのであれば、それはそれで、よかったことだと思う」と一定の評価。一方で、「いきなりオンラインで授業を行うことの難しさは、それぞれの学校現場であったと思うので、そういう不安の声が漏れてきたのではないかと思っている」と分析した。
さらに、松井市長とのやりとりを説明。「学校閉鎖するのではなくて、どうしても基礎疾患があったり、家族に基礎疾患者などがいて、学校に来ることに躊躇している人たちは在宅からオンラインで参加していい」と話したと説明した。
さらに、「学校に来たいと、居場所がないという子供たちに対しては学校は開けておく、給食は一緒に食べると、そういう提案をされたので、それはそれぞれの設置者である自治体の判断を尊重する」と述べたとし、「仮に授業時間などが十分に確保されない場合は、緊急事態が解除された後にしっかりフォローしてほしい」と要望したことを紹介した。