■ポイント□
〇多くの大学がベンチャー創出に注力
〇コロナの影響、「なし」が最多
〇企業に比べて博士人材を積極活用
経済産業省が取りまとめた令和3年度大学発ベンチャー実態等調査によると、2021年10月時点での大学発ベンチャー数は3306社と、2020年度で確認された2905社から401社増加し、過去最高の伸びを記録した。
大学発ベンチャーは、大学等における革新的な研究成果をもとに、経済社会にイノベーションをもたらす担い手として期待されている。経産省の調査は、大学発ベンチャーの設立状況を定点観測するとともに、事業環境やニーズ等を調査し、その成長に寄与する要因等を分析することで、今後の政策展開に活用するため実施している。
調査によると、大学別の大学発ベンチャー企業数では引き続き東京大学が最も多いものの、京都大、筑波大、慶應義塾大など他大学の伸びも目立ち、多くの大学がベンチャー創出に力を入れていることがうかがえる。
大学発ベンチャーにおける新型コロナウイルスの影響について昨年との比較について聞いたところ、「変化なし」との回答が最も多いものの、プラス面よりマイナス面の影響が大きいのは「施設利用・他社連携」、「事業計画」、「投資」との回答があった。
大学発ベンチャー企業の従業員に占める博士人材の比率は、特に研究成果ベンチャーや技術移転ベンチャーにおいて、一般企業の研究職に比べて高く、大学発ベンチャーでは博士人材が積極的に活用されていることがうかがえる。
経産省では、大学発ベンチャーの企業情報を公開している「大学発ベンチャーデータベース」に関しても、今回の調査結果を踏まえて更新した。