2022年11月4日 【精神・神経医療センター】日本初、「こころの幸福度」高い社会をめざしたメンタルヘルスプラットフォームを構築 KOKOROBO-Jの全国実装を推進

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)病院 情報管理・解析部の竹田和良室長をプロジェクトリーダーとし、複数の大学、企業、特定非営利活動法人(NPO)が参画する研究グループが、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運営する共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)で、令和4年度共創分野・育成型の研究拠点に採択された。

思春期を主とした若年者のメンタルヘルスに焦点を当てつつ、いつでもどこでも誰でもアクセス可能な全世代対応型遠隔メンタルヘルスケアシステム(KOKOROBO-J)を開発するとともに、利用者の相談・居場所アクセスシステム、教員のサポートシステム、市民・患者の共同参加システムをも備えたわが国初のメンタルヘルスプラットフォームを日本全国で利用可能にする。

これにより、日常的にメンタルヘルスケアを行うことが当たり前の社会を実現し、個々のメンタル不調を予防し、メンタル不調を早期に手当てすることで、「こころの幸福度」の高い社会の実現を目指す。

JST共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)は、大学等が中心となって未来のありたい社会像(拠点ビジョン)を策定し、その実現に向けた研究開発を推進し、プロジェクト終了後も、持続的に成果を創出する自立した産学官共創拠点の形成を目指す産学連携プログラム。同拠点では、第一生命保険㈱を筆頭に、複数の企業、大学、NPO、自治体と連携して社会実装を進めることとしている。

子どもの「こころの幸福度」OECDでビリから2番目

健康とメンタル不調・精神疾患発症には連続性があり、精神疾患は誰にでも罹患しうる一般的な病気だが、新型コロナ感染症の流行以前より、十分に社会に浸透していなかった。このような理解が当たり前のこととして、社会に浸透することが、メンタル不調や精神疾患の予防や早期治療に欠かせない課題と考えられる。

また、諸外国と比べ、種々のサービスが提供されているが、メンタルヘルスサービスへのアクセスが十分でなく、必要な人に必要な情報が必要な時に容易に届かないことも課題とされている。

こうした背景の中で、新型コロナ感染症が流行し、特に思春期で、うつ病、不安障害が増加し、2020年小中高生の自殺者も過去最大となった。子供の精神的幸福度(こころの幸福度)は、OECDに加盟する先進国の中で38ヵ国中37番目と極めて低く、身体的幸福度がOECD加盟国中1位であるのと対照的。若い世代へのメンタルヘルス対応が不可欠となっている。

メンタルヘルスとは、「単に精神疾患にかかっていない状態を意味するのではなく、日々のストレスをやりすごし、他者と関わり、自分らしい行動選択のできる健康的な状態」とWHOによって定義されている。こうした状態を維持する有効なメンタルヘルスケアシステムを開発し、社会に実装することで、思春期等の若年者のメンタルヘルスを改善・向上することがこの研究の目的となっている。


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