神戸大学と白鶴酒造㈱は、「CO2排出量を削減する国産飼料原料開発事業」が昨年8月にKOBEゼロカーボン支援補助金制度の事業として採択され、酒粕の飼料化について共同研究を開始した。輸入飼料に代わる飼料として、国産の酒粕の活用(地産地消)を目指する。活用が実現できれば、飼料を輸入する際に出るCO2の削減につながるという。
現状、国産鶏の飼料の主な原料は輸入に依存している。しかし、輸入飼料は海外情勢や原油価格、円安など多くの価格変動リスクがあることに加え、輸送時のCO2排出による地球温暖化促進が懸念される。したがって、食料の安定供給と環境保全の両面から、飼料の国産化は重要な課題といえる。
一方、日本酒の副産物である酒粕は、粕汁や漬物など食用として活用されてきたが、形状などが食用に適さないものも発生することから、新たな活用法も模索されている。
酒粕は、そのままでは水分量が多く鶏の飼料に適さない。しかし、タンパク質含量は乾燥重量あたり40~50%と栄養価が高く、酒粕を効率的に乾燥破砕できれば、輸入飼料と置き換えられる可能性がある。そこで、白鶴が酒粕の乾燥破砕の方法を確立し、神戸大が鶏肉・鶏卵生産用の飼料としての乾燥酒粕の価値を評価する。