2022年1月28日 【神戸大】市民の要介護リスク予測を日立と共同開発 説明可能なAI技術を用いて

神戸大学大学院医学研究科地域社会医学・健康科学講座AI・デジタルヘルス科学分野の榑林陽一特命教授らと㈱日立製作所は、神戸市が構築したヘルスケアデータ連携システムを活用した取組として、神戸市民の健康・医療情報を対象に、AI(人工知能)技術による要介護リスクの解析研究を行う。

この研究は神戸大が主体となり、日立が開発した独自の説明可能なAI技術を活用することで要介護リスク予測のブラックボックス化(解析根拠が不明)の解消を目指し、神戸市民38万人の健康・医療ビッグデータから、住民一人ひとりに対する要介護リスクの予測や予測根拠を提示する方法を開発する。研究成果の要介護リスク個別予測モデルは神戸大から神戸市に提供され、神戸市の保健・介護政策づくりに活用されることが期待される。

高齢者の保健事業と介護予防を一体化

超高齢社会を迎え、市町村が中心となって高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施を推進するための体制整備が進められている。今回、神戸市保健事業にかかる研究倫理委員会承認のもと、平成27年度から令和元年度までの計5年間の介護保険被保険者の医療・介護データなどの連結データセット(約3000項目/人)が、神戸市から神戸大大学院医学研究科地域社会医学・健康科学講座AI・デジタルヘルス科学分野に提供された。

データ提供は令和6年度まで継続し、最終的に計10年間の連結データセットが提供される予定。データは、神戸市で個人や住所が特定されることのないよう匿名化され、神戸大に提供される。さらに、神戸大で希少疾患などから個人が特定されることがないよう、同じ特徴を持つ人が10人以下のデータ項目を削除するという再匿名化を行う。

神戸大と日立は共同研究契約のもと、日立の独自AI技術を用いて要介護リスク個別予測モデルを開発する。要介護リスクは個人ごとに異なるため、最先端の説明可能なAI技術を適用することで、精度の高い予測モデルの作成が期待できるとともに、要介護のリスク要因の解析根拠を把握することが可能。

研究の解析対象は、65才以上の神戸市民38万人の医療情報、介護情報、健診情報などを連結した継時的データセットで、これをAIの学習データとして用いて、一人ひとりに対する要介護リスクを予測するモデルを研究する。

継時的なビッグデータ解析により、個人ごとに異なる介護リスク要因の特定に向けて予測性能を検証する研究が、政令指定都市規模の大規模なコホートで実施されることは、国内初となる。また、開発された要介護リスク個別予測モデルは、神戸市の保健・介護政策づくりに活用されることが期待される。

この研究の成果は、神戸市をはじめ全国の自治体において保健事業と介護予防の一体的実施に従事する専門職員の作業の負荷軽減や、適切なリスク個別予測による介護予防事業の質の向上につながるものとみられる。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.