2022年6月22日 【産総研】製造現場で段取り工程を自動化できる位置姿勢の高精度検出技術 生産工場での搬送、製造工程自動化へのキーデバイス

■ポイント□

〇加工、組み立てなどの製造現場で活用できる高精度な位置姿勢計測マーカーを開発

〇測定は自作可能な単純形状マーカーを専用カメラ1台で撮影するだけ、簡易、低コスト

〇工作機械などの座標系上での加工物、治具、工具、ロボットなどの位置姿勢を簡易、高速に設定

 

国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)製造技術研究部門積層加工システム研究グループの松本光崇研究グループ長、栗田恒雄主任研究員は、製造現場での加工物などの位置姿勢測定のための新たな測定デバイス、3DSマーカーシステムを開発した。このシステムは、従来と比べて、位置精度3µm(マイクロメートル、1μ㍍は0・001㍉㍍)、姿勢精度0・02度と高精度に位置姿勢の測定が可能で、工場に導入しやすく、低コスト、簡便、堅牢性などを有する。

このシステムでは、三次元で既知の段差を持った任意形状のマーカーを用いて、上面のエッジと照明がつくる影をカメラで撮影することでマーカーの位置姿勢を測定する。AR技術で用いられる従来のARマーカーは主に白黒の正方形であるため、カメラとマーカーが正対した際に垂直方向で精度低下が起こる。

一方、このマーカーは正対していてもマーカーの平面方向と同等の精度で垂直な方向の距離を測定することができる。また、位置姿勢の測定に影を用いているため、測定はマーカー材料の表面粗さ、色彩などの影響を受けにくいといった特長がある。

このマーカーシステムを用いると、工作機械やロボットなどの製造装置、搬送装置の座標系へ、加工物、治具、工具、エンドエフェクタなどの位置姿勢を簡易、高速に設定できる。このシステムは、変種変量生産システムなどにおいて、搬送や加工物の位置決め工程の自動化に貢献する。


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