気候変動の将来予測には気候モデル間でばらつき(不確実性)があり、それが経済影響(被害額が国内総生産(GDP)の何%に相当するか)の評価にも不確実性をもたらす。国立環境研究所の研究チームは、世界全体の経済影響の不確実性幅を削減する手法を世界で初めて開発した。観測データと比較して近年の世界平均気温トレンドが大きすぎる気候モデルの予測データを用いた経済影響評価は過大であることを示し、21世紀末の経済影響評価の不確実性幅の上限を2.9%から2.5%へと引き下げ、分散(ばらつきの指標)を31%削減できた。
これは、気候変動予測の分野で開発された最新の不確実性低減手法を経済影響評価の分野に世界で初めて応用した研究成果。今後、気候変動の予測と影響評価の分野をまたいだ総合的な知見を得るために必要な道筋を示すも野と期待される。
本研究の成果は、12月6日付で環境分野の学術誌『Environmental Research Letters』に掲載された。