□ポイント■
○4種の希少シャコ類を発見・報告
○北半球初記録となる種も発見
○琉球列島のシャコ類分布は多くは判明していない
琉球大学理工学研究科の中島広喜氏(博士前期課程2年)と、お茶の水女子大学湾岸生物教育研究センターの吉田隆太特任助教、琉球大熱帯生物圏研究センターの成瀬貫准教授からなる共同研究グループが、琉球列島と小笠原諸島の沿岸海域から、4種の希少なシャコ類を発見・報告した。
発見されたのは、「アデヤカフトユビシャコモドキ」「ノコバトラフシャコ」「ツブアリマシャコ」「チュラカクオシャコ」(いずれも和名新称)の4種。この4種にはこの研究が北半球初記録となる種や、国内から新記録となる種等が含まれていた。
この研究成果は、2月23日に学会誌「Plankton and Benthos Research誌」に公表された。
シャコ類は世界から約500種が知られている甲殻類で、主に熱帯から亜寒帯の浅海域にかけて、岩やサンゴなどの隙間や、海底に掘った巣穴に生息している。強大に発達した第2顎脚(捕脚)がシャコ類の特徴で、この捕脚を高速で繰り出し、餌の貝などを割ることができる種や、魚類などを捕らえることができる種などが知られている。
シャコ類は国内では食用種となる「シャコ」1種が有名だが、実際は70種以上のシャコ類が日本から報告されている。かし、海洋生物の種多様性が非常に高いことが知られる琉球列島の沿岸域でシャコ類を対象に行われた研究はほとんどなく、これまでに琉球列島からは30種程度しかシャコ類の記録がない。
こうした前例などから、琉球列島にどのようなシャコ類が分布しているのかは明らかになっていない部分が大きいと考えられる。そこで今回、西表島や沖縄島で現地調査を行うとともに、琉球大博物館(風樹館)や国立科学博物館に収蔵されていた琉球列島や小笠原諸島の標本について調査し、シャコ類の種多様性について迫るための研究を行った。