理化学研究所(理研)などの研究グループは、毎日得られる最新のデータを生かした新型コロナウイルス感染症の感染予測を開始した。この研究は、新型コロナ感染拡大の兆候を早期に捉えることで、感染拡大の防止に役立て、予測される感染拡大に事前に備えるための対応計画の策定などに貢献すると期待される。
この感染予測を開発したのは、理研計算科学研究センターデータ同化研究チームの三好建正チームリーダー、キウェン・ソン大学院生リサーチ・アソシエイト、名古屋大大学院多元数理科学研究科のセルジュ・リシャール特任教授らの共同研究グループ。
データ同化で推移を推定
共同研究グループは、コンピュータを使った天気予報の要となるデータ同化の方法を新型コロナウイルス感染症の感染予測に応用した。予測に重要となる一人の感染者が何人に感染させたかを表す「実効再生産数」は直接知ることができないが、データ同化によって、これまでの推移を推定した。
その結果、過去3回の緊急事態宣言等による感染抑制効果を確認した。また、これらに対応する予測シナリオ(1回目:A1、2回目:A2、3回目:A3)と、感染抑制がされない場合の予測シナリオ(A4)について、それぞれ今後の感染の推移を予測する。
全国と東京都の最新のデータに基づくこれまでの推定および将来予測のデータは、9月14日から理研データ同化研究チームのCOVID-19感染予測Webページで公開している。研究グループでは、随時システムの改良を行い、予測対象領域を拡大する構えだ。