国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)と山口市、森ビル都市企画㈱(山口市産業交流拠点施設指定管理者)は、11月18日、「ウェルビーイングにつながる産業創出をテーマとした事業連携に関する協定」を締結した。今後、NIMSの保有する材料技術シーズの活用をはじめ、ヘルスケア産業等の創出及び支援、まちづくりに資する事業を三者が相互に連携して展開する。
この協定の下、NIMSと山口市、森ビル都市企画㈱は、次の事項について連携・協力して取組を促進する。
①ウェルビーイングにつなげることを目的とした、NIMSが保有する材料技術シーズを活用した実証実験等に関すること
②実証実験等を契機とした、ウェルビーイングにつながる産業創出に関すること
③山口市が取り組むまちづくり及び産業支援に関すること
実証実験の第一弾は、NIMS開発の蒸汗センサを用いた脱水症・熱中症の予防を目的として、山口市産業交流拠点施設に設置されたMEDIFITLAB(メディフィットラボ⦆内のスポーツクラブで行われる。
蒸汗センサ(モイスチャーセンサ)は、NIMS機能性材料研究拠点電気化学センサグループの川喜多仁グループリーダーによって開発され、同センサを用いた高齢者ケア施設等での小規模な試験では、汗の量と体水分の変化率との間に相関があることが見出されている。今回、メディフィットラボ施設にて被験者の年齢幅や人数を増やし、被験者の運動前後における蒸散する汗(蒸汗)の量、体温、体重(体水分)の変化率、心拍数等との相関を統計的に解析する。
それにより蒸汗量に基づく体水分の変化率の推定精度を高め、先々の脱水症・熱中症を予防する仕組みづくりに役立てることを目指す。