2022年3月8日 【熊本大】日本発・次世代型核酸医薬技術の社会実装推進へベンチャー設立

熊本大学は、同大大学院先端科学研究部の勝田陽介助教らが開発した「Staple核酸」の研究活動と知財化を支援してきたが、勝田助教が創業者となり、「㈱StapleBio」を設立した。設立日は昨年11月30日付け。治療法のない希少疾病や新興感染症などに対する治療薬の開発を目指す。

StapleBioの基盤プラットフォームとなる「Staple核酸」技術は、勝田陽介助教を中心に、京大の佐藤慎一准教授、弘前大の萩原正規准教授、熊本大の井原敏博教授、北村裕介助教によって開発 された純国産の次世代型核酸医薬技術。同技術は、昨年10月二神戸で開催された医療ヘルスケアに関する社会課題の解決を目指す次世代技術のコンテスト「メドテックグランプリKOBE2021」で最優秀賞を受賞するとともに、AMED「創薬基盤推進研究事業」や、JST「創発究支援事業」の公募型研究課題等にも採択され、さらなる研究開発が進行している。

ここ数年、核酸(DNAやRNA)の構成成分を基本骨格とした核酸医薬は、新たなモダリティー(治療手段)として注目され、アンチセンスやsiRNAといった先行技術により世界で15品目の核酸医薬品が承認されているが、血中安定性や標的臓器への薬物輸送での課題に加えて副作用(オフターゲット効果)の問題が残されており、核酸医薬開発の難易度は依然として高い状況といえる。

「Staple核酸」技術は、これまでの既存技術と全く異なる作用機序により、より高い選択性を持って遺伝子発現を制御することができ、かつ、血中安定性に優れた人工核酸を用いることにより、より安定な薬剤を提供することが可能。

今後、StapleBioは、「Staple核酸」技術のさらなる強化を進めるとともに、国内外の事業会社やアカデミアとのコラボレーションを通じて医療分野への応用を積極的に推進することにより、治療法のない希少疾病や新興感染症を抱える患者に新たな治療薬を提供する。

StapleBioの設立に先立ち、昨年1月から大鵬薬品工業㈱のコーポレート・ベンチャーキャピタルである大鵬イノベーションズ合同会社とインキュベーションのための共同研究をスタートして、起業の見極めと特許ポートフォリオの強化を実施してきた。

また、会社設立にあたっては、シードラウンドとして大鵬イノベーションズから資金調達を実施した。

StapleBioの代表取締役には、大鵬イノベーションズの谷川清氏が就任し、熊本大の勝田陽介助教が取締役CSOに就いた。

熊本大は、StapleBioを同大学発のベンチャーとして認定し、「Staple核酸」技術を独占的にライセンスするとともに、同社との共同研究を通して引き続き研究開発を支援する。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.