■ポイント□
〇座学で得た知識を現実のように学ぶ
〇知識・技術の習熟度を踏まえ繰り返しトレーニング
〇他学部や学外教育機関でも活用
コロナ禍で臨地実習が制限され、医療系学生の臨床能力の育成が課題となっている。熊本大学医学部保健学科では、医療系学生が座学で得た知識を、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などのクロスリアリティにより、現実のように身体を動かしながら学びを深められるバーチャルトレーニングシステムを開発した。この取り組みは、熊本大の総合情報環構想によるDX推進計画に基づき、文部科学省の大学改革推進等補助金「デジタル活用教育高度化事業」に採択されたことで実現した。
学生にとって、経験している現象に思考や記憶を自動的に適応させて実践することは容易ではない。クロスリアリティやシミュレータによる教育は、学生の知識・技術のレディネス(習熟度)を踏まえた上で、学習者中心の学習計画に基づき、繰り返しトレーニングできるという利点がある。
さらに、従来の学習環境では体験できなかった場面をバーチャル上に作り出すことで、身体を動かしながら学習できる環境をつくることが可能となった。
今後は、作成した教材を他学部や学外の教育機関でも使ってもらうことで、組織連携の環の強化を図る。また、作成したコンテンツや仮想学習に対する学生評価や講義改善のアイデアを取り入れることで、学生と共に学ぶ意欲を高める組織作りを実現していきたいとしている。