2021年9月6日 【海洋機構】北極域研究船の建造契約を締結、8年度完成予定

 

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、北極域研究船の建造について、去る8月19日付けで、ジャパン マリンユナイテッド㈱と船舶建造請負契約(契約金額:約252億円)を締結した。新船は令和8年度の完成を予定している。

新船は全長128㍍、船幅23㍍、喫水8㍍で、国際総トン数1万3000㌧。砕氷能力は平坦1年氷1.2㍍を3.0ktの船速で連続砕氷可能。耐氷能力はポーラークラス。乗員99名。

世界レベルの観測が可能な設備と、科学魚群探知機等の新たな設備を搭載するとともに、海氷域における必要十分な砕氷・耐氷性能と通常海域を含む観測性能を両立するための船型となる。また、①安全かつ効率的な運航につながる先進的な氷海航行支援システムの搭載、②デュアルフューエル機関の採用による環境負荷低減、低燃費の工夫、③十分な定点保持機能と効率的な推進システムなどを擁することとなる。

また、④ROV、AUV等の無人探査機器を運用するとともに、⑤安全確保、海氷等観測用のヘリコプターの運用機能、⑥十分なラボスペース、優れたネットワーク等の世界レベルの研究・分析環境、⑦国際プラットフォームとして、ユニバーサルな居住環境の実現、⑧8豪雨等による自然災害発生時の被災地支援対応といったことも考慮した設備構成となる予定。

十分な砕氷機能と世界レベルの観測機能

現在の北極域は、海氷の減少などの急激な環境変化が進み、わが国を含む中緯度域、ひいては地球全体の気候・気象変動にも大きく影響を及ぼしている。一方で、その変化が経済活動の活発化をもたらしているなど、北極域が抱える課題はグローバルな視点でとらえる必要がある。

わが国は、北極域に隣接し、急激な環境変化の影響を受ける国として、さらには世界のリーダーの一員として、北極域が抱えている諸課題の解決に科学的根拠をもって貢献することが責務との認識を示している。

北極域研究船は、このための国際的な研究プラットフォームとして活用可能な、十分な砕氷機能と世界レベルの観測機能を備える。

JAMSTECは、北極域研究船の円滑な建造を進め、同船の就航後は国際連携のもと研究活動を促進し、北極域の持続可能な開発・利用・保全の実現に貢献するとともに、研究者や技術者などの人材育成につなげる。また、災害発生時には、被災地支援にも貢献する方針だ。


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