2022年4月26日 【横浜市大】少ない生活保護受給者の診療所外来 市DB用いて受療行動を調査

□ポイント■

○90歳以上の超高齢者では75-89歳と比較して外来受診は少なく、救急室受診・入院・訪問診療・通所と居宅介護サービスの利用が多い

○生活保護受給者は診療所外来の受診が少なく、病院外来受診・救急室受診・入院・訪問診療が多い

○2050年に予測される人口構成を用いると、現在と比較して、訪問診療と通所介護サービスの利用は約1.4倍、居宅介護サービスは約1.2倍になることが予想される

 

横浜市立大学大学院データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻の金子惇講師らの研究グループは、横浜市医療局医療政策課と連携し、横浜市のデータベース(YoMDB)を用いて、75歳以上の高齢者の受療行動を調査した。この研究は、診療所外来受診・病院外来受診・救急室受診・入院・訪問診療などの医療サービスの利用と、居宅と通所の介護サービスの利用を集計し、1000人当たり・1ヵ月当たりに換算した。その結果、90歳以上の超高齢者では、75-89歳と比較して診療所や病院の外来受診は少なく、救急室受診・入院・訪問診療・通所と居宅介護サービスの利用が多いことが明らかになった。今回の研究結果は、今後の医療政策の策定や評価する際の指標の一つとして活用できる可能性があると考えられる。

世界保健機関は21世紀の全世界的な課題として「都市化」を挙げています。現在世界の人口の55%が都市部に集中しており、2050年には68%に達することが予想されています。同時に高齢者の増加も世界的な健康課題となっています。しかし、「高齢者」は一様な集団ではなく、90歳以上の超高齢者の受療行動は十分に知られていません。

金子講師らは、世界に先駆けて高齢化が進行しているわが国の高齢者の受療行動を調査することは他国の高齢者医療政策にとっても有意義と考えられるため、今回の研究を行った。

研究はレセプトデータを用いた横断研究で、2018年4月1日から2019年3月31日の間に横浜市に住民票があった75歳以上の住民かつ後期高齢者医療広域連合加盟者や生活保護受給者の全数が対象となった。

診療所外来受診、病院外来受診、特定機能病院外来受診、救急受診、病院入院、特定機能病院入院、訪問診療、往診、居宅介護サービス利用、施設介護サービス利用を1000人当たりかつ1ヵ月当たりに少なくとも1回以上行った人数を集計。月ごとの日数に応じた加重平均を用い、性別・年齢5歳階級別・生活保護の有無に基づいて人数を算出した。

対象者は45万4366人にのぼり、1000人当たりかつ1カ月当たりに換算した人数(75-89歳/90歳以上)は、診療所外来受診622/570、病院外来受診300/263、特定機能病院外来受診16/6、救急受診10/27、病院入院45/96、特定機能病院入院2/1、訪問診療36/228、臨時往診6/38、居宅介護サービス173/533、施設介護サービス32/178(単位:人)だった。


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